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理解されているようで理解されていない 潤滑油の理論

「潤滑」って何?(摩擦損失、部品摩耗)

ひとことで言えば摩擦と摩耗を極力低下させることです。エンジンの摩擦損失は非常に大きく、吸排気のバルブとカムの接触面はノロノロ運転時に 特に大きな損失要因となります。

ピストン系はガソリン/空気を圧縮させるためにピストンリングがシリンダーに押し付けられており、シリンダー面との摩擦が生じます。

ピストンの上下運動を回転運動に変えるコンロッド軸受部は、燃焼時の爆発ショックを受け止めなければなりません。

そしてトランスミッション〜デファレンシャルギアへとエンジンの回転運動は伝達され、ミッションやデフの摩擦損失も非常に大きいです。やがて摩擦部は部品摩耗、劣化へと進行します。

摩擦損失はガソリンやディーゼルなどの燃費の増大に直接関連しており、部品摩耗、劣化 への進行は資源の損失に関連します。

「省燃費・環境対応」と「潤滑オイル」・・・関係あるの?

2007年、世界中で走行している自動車は、10億台を超えていると推測されます。

潤滑オイルからの視点で省燃費、環境を考えた時、燃料の30%がエンジンエネルギー(出力)として利用され、残りの70%は排気(熱)として30%、冷却に30%、摩擦損失に10%の割合で失われています。

10億台の車の燃料消費を10%低減できれば、日本の全ての車の1年分に相当すると言われています。

燃料を提言する為の対策としてボディーの空力抵抗、軽量化、エンジンの燃焼効率そして潤滑オイルが受け持つ摩擦損失の低減が重要となります。

40年程前、イギリス政府において摩擦、摩耗を改善させるだけでGNPの1.3%(当時の金額で5000億円)の経済的効果があると発表されました。その結果「流体潤滑理論」の研究が急速に進み、粘性油膜、弾性油膜を考慮したエンジン、ミッション(AT.MT)などの機械設計が行われるようになったのです。

粘弾性潤滑理論が本格的に構築されて、20年程度と年数も短いために弾性油膜に関しては一般的に知られていないのが実情と言えます。しかし、省燃費環境対応を考える時、潤滑オイルに関する正しい知識が不可欠となります。

「粘弾性オイル」って何?(粘性油膜、弾性油膜)

エンジン、ミッション(AT・MT)、デフなどがオイルによって潤滑されるとき、パーツの接触面は油膜によって保護されています。油膜には粘性油膜と弾性油膜とが存在します。

粘性油膜は一般的にも知られていて、オイルの持つ粘性(ねばり感として誰にでも認識できる)によって回転軸面に圧力が発生することによって粘性油膜が形成されます。これがオイル業界で一般的に言われる油膜です。

弾性油膜の存在が証明されたのは、1950年代以降でまったく新しい油膜の存在であったために、近年までは機械設計者ですらあまり認識されていませんでした。

しかし現在においては弾性流体潤滑理論(EHL理論)として確立されており、弾性油膜の厚さを見積もる「式」が確立されたことによりその式を利用してエンジン、ミッション、デフなどの設計時には必ず使用されています。

// 参考 //
荷重を受けている歯車(ギア)、トラクションドライブ、転がり軸受けの接触部などは弾性油膜によって潤滑されている。 (トラクションドライブ、CVT(オートマ)などの無段階変速方式もトラクションドライブと呼ばれる)

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